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モリタ製作所の見学

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先日、大学の授業の一環で京都のモリタ製作所様に見学に行く機会がありました.
こちらは、歯科用の治療器具やイスなどの備品を主に作っている会社で、かなりのシェアがあるそうです.

工場の見学を主に伺ったのですが、個人的にはこの会社のR&Dにかける姿勢に感銘を受けました.
あえて会社をユルくして(限度はあると思いますが)、勝手に色々と考えたりプロジェクトを進めることを推奨していたり、成果の出ないプロジェクトも方向性が良ければ延々と支持し続けたりと、イノベーションを起こす土壌を整備することの大切さを理解し、実行しているように感じました.

事実、寝るスタイルの診療台を初めて発売して歯科医のスタイルを大きく変えたり、レーザーでの治療器を開発したりと、新しい発想の製品を数多く開発していました.
また、この会社はインハウスのデザイナーがおらず、全部外部のデザイナーがデザインしているそうですがデザインの質も高く、単に外部のデザイナーが優秀なだけではなく、会社内部の企画や設計部署とも風通し良く開発が出来ている様子でした.

別の機会に別の企業の方と話していて、他は変えられても会社の風土というのはなかなか変えられない、という話をしたことがあります.風土というのは別に形があるわけでもなくその場その場のやりとりの積み重ねですが、シクミとして大きな力を持っているのだと感じた見学会でした.

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メイカーズ革命

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週刊東洋経済の「メイカーズ革命」特集号を読みました.
さすが経済誌らしく、ビジネスの視点から「メイカー」ムーブメントを捉えています.
日本だと単に3Dプリンターや3Dスキャナが「新技術」として物珍しさだけで捉えられている場合が多いのですが、本質はそこになくてビジネスのシクミとしてIT系の技術やオープンソースの文化が、今までの中小の製造業のあり方と大きく異なっていることを解りやすく解説しています.

メイカームーブメントと通常の製造業の違いは、基本的に個人ベースで行い、全ての行程を自分で管理して行うことで、何がプロフェッショナルであるか、というよりは偏在する知識をどう統合化出来るかどうかが能力の差になっているところだと思います.

ニコニコ学会β第2回1日目ビデオバガボンドワークスさんの開発事例(5:28あたりから)が、まさにこの違いを表していると思います.
彼の場合は趣味の開発ですが、これをビジネスに応用することは可能で、都会のマンションで1人で製造業が営業できる事になります.

IDEOなどが「T字型人間」がこれからの求められる姿、としています.スキルや専門性としてT字型である必要は非常に大きいと思いますが、その上でさらにジャンルに囚われない活動がモノ作りをするどのレベルの人間、個人にももとめられるのかもしれません.

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学習のステップ

あけましておめでとうございます
ことしもよろしくおねがいします

年末年始は、私と妻の双方の実家でゆっくりすごしていました.
妻の実家では4歳になる姪と2歳になる甥がおり、大変賑やかな正月でした.

さて、ちょっとした時間に姪と遊んでいる際に紙とペンがあったので「なにか絵を描こうか」と提案しましたが、あまり乗り気ではない様子でした.
そこで、アンパンマンの似顔絵を描いて見せた(ほぼ丸だけでデザインされている優秀なアイコンだと思います)ところ、興味を持って彼女もアンパンマンを描きだしました.
描き終わったところで、次をどうしたら良いのか描きあぐねている様子だったので
「アンパンマンはどこにいるの?」
「家にいるの」
「じゃあ、家を描こうよ」
「描けた!」
「アンパンマンは何をしているの?」
「電話を掛けているの」
「誰に?」
「メロンパンナちゃん」
「じゃあ、、、」
と、少しずつ話を広げて行きながらお絵かきをしていました.

子供相手に絵を描くという良くある光景ですが、学びのステップとしてもごく真っ当なものだとそのとき感じました.

単にどんなことをさせたいのか学び手に示すだけではダメで、先にアンパンマンの絵を描くようにゴールの輪郭を見せることと、興味、モチベーションを高めること.そして学び手の理解度に応じたステップでの小さなゴールを見せて、それに対して対話することで大きなプロジェクトを導くことが必要になってきます.

最近は大学やワークショップでの仕事が多く、また伝統産業とのコラボレーションでも自分ではなく相手に動いて頂く場合も増えています.その場合に自分が手を動かすわけではないので、同じ感覚で外部化するのではなく、相手のステップに対応した提案が必要です.
自分にとっては道筋の付いたことなのでその方法は分かりきったものなのですが、受け取る相手はどんなに能力の高い方でも初めての経験になるので、そこはステップごとにこなす必要があります.

コーチ業が多くなっていますが、良いプレーヤーと良いコーチが別である事と同じで、それぞれ別のノウハウが必要になっています.そろそろ教員としての経験も長くなってきているので、その辺も体系的にまとめていきたいと思っています.

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