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どうやって学ぶか

大学の授業で、あるスキルを補講的に学び直す授業を担当しています.

その授業では、学生のレベルに差があることが予想できたので、普通に「教える」事はせずに、事前に講義内容をビデオで準備しておいて、それを自分のペースで視聴しながら課題を進めていき、解らないところを質問する形式にして自分で「学ぶ」様な授業にしました.
このような方式は初めてで、色々と改善点はありましたが授業後のアンケートでは学生の反応も良く、次回もこの方式で改良していくことになりました.

教育の現場では、MOOC(Massive open online course)というオンラインで授業を公開することに注目が集まっています.
これは、大学の講義を無料でネット上に公開して、受講とテストが修了すれば大学の公式の認定書がもらえるというもので、アメリカの大学を中心に広がりを見せています.
今回私も自分でやってみて感じましたが、ビデオの教材を準備するのは、思った以上に簡単でした.コンテンツ自体の準備は通常の授業と同様ですが、ビデオの録画、編集、レンダリングなどフリーやOS付属のソフトでほぼ完璧にこなせて、その手間も予想以上に少ないものでした.

基本的に、教育は「ティーチング」と「ラーニング」に分けて考えることが出来ます.
知識を学ぶティーチングの部分はこのようなオンラインの方が、一対多の授業形式よりは断然効率が良く、また各人の進行状況に合わせた対応が出来ます.
私の授業でも、自分に合わせて進められるので良い、という答えも多くありました.
しかし、その知識をつなぐ為に試行錯誤をして「学ぶ」=「ラーニング」の場は、オンラインではまだ難しいと思います.
大学などの人と人が対面して教える場は、その様な「ラーニング」主体の場に今後変化していくのかもしれません.

ワイヤードの記事で、伊藤穣一さんが以下の発言をしていました.

既成の地図をあてにしていると、すでにある道を一歩一歩前進することしかできなくなってしまいます。既成の権威を疑って自分で考えること、素直かつ謙虚に権威を疑うことが必要なのです。子どもたちには、そのための倫理やインスピレーションを学ぶためのメンターやロールモデルが必要で、そうした体験を提供できなければ、学校の価値は減る一方でしょう。学ぶべきは「何を学ぶか」ではなく、「どうやって学ぶか」なのです。

私の授業では、とりあえずティーチングの部分を「向こう側」にやってみましたが、今後はラーニングをどのように提供するかが課題になってきています.

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