観ること
ここのところ、ブログの話題は大学関連のものが多くなります.(その他の仕事もしていますが、、、)
学生への対応を考えて、「特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門」という神経心理学の本を読んでいます.発達障害などの事例の本ですが、児童の振る舞いに注目するのではなく、その背景をいかに探るかという内容で興味深く読みました.
発達障害は脳に障害をもつ「状態」で、身体で言うと手が無かったり、足の動きが不自由だったりするのと似ています.ただ、脳の状態なのでそれは外見では見えにくく、外からは片腕しか無いのに、両腕で出来る作業を押しつけられたりする様な事が多々あります.片腕でなんとかそれをこなそうとしますが、どうしても無理をしてしまい、普通の人と比べると疲れてしまいやすかったり、その作業を無意識に避けようとしたり、そもそもその作業が無理だったりしてしまいます.
そういった、「ふるまい」の表層的な部分のみに注目して、そこだけを修正するのは逆にその人にとってはさらにしんどい状態に追い込むことになってしまいます.
ですので、その原因を探ってその原因に対しての対応策を考える必要を、この本では説いていました.
発達障害、特に自閉症スペクトラムは健常者とそうで無い人との境目が曖昧ですし、人も気分によってはそういう行動を起こす場合もあります.そういった場合にも、単に表層的な部分のみに対応するのでは無く、その背景を常に観ておく必要があります.
教育の世界でも「ティーチングからラーニングへ」というのがトレンドになっており、学生をアクティブラーナーに導くための教育法が必要とされています.
ただ、これは単にメソッドがあるわけでは無く、観る力をベースにどうファシリテートしていくかがポイントになります.
観るというのは単に子細に観察する、というだけでは無くて、自分と違う考え、感じ方をしている人の気持ちにどこまで寄り添えるか、ということになります.
人間はどうしても自分の経験ベースでしか物事を判断できないのですが、そこをどう他者を理解していくか、若しくは理解できないものとしてそこからどう近づいていくか、がポイントなんだろうと思います.
そこらへんが、来年の課題の一つになっています.
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